特集記事 Reviews

赤坂の先人に聞く「ハリー・ポッターで地域活性化」【後編】画像

2023.09.25｜ライター：松田亜希子さん体験・観光

赤坂の先人に聞く「ハリー・ポッターで地域活性化」【後編】

2023年6月、としまえん跡地に「ワーナーブラザーススタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター」がオープン。映画『ハリー・ポッター』シリーズの体験型施設誕生に、練馬区は沸いています。

一方、赤坂の「TBS赤坂ACTシアター」では、2022年7月から舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』が無期限ロングラン上演中。劇場とその周辺が作品の世界観につくり替えられ、赤坂に着いたときからハリー・ポッターの世界に没入できると評判を呼んでいます。

そんな赤坂のまちづくりマインドを練馬にも活かしたいと現地に出かけたのは、ねりま観光センター長の吉田法仁。「赤坂エンタテインメント・シティ計画」を担当するTBSテレビの岡田慎太郎さんにインタビューした後編をお届けします。

エンタメの基本＝ワクワクをサポートするまちに

エンタメの基本＝ワクワクをサポートするまちに画像

赤坂と練馬のまちづくりについて語り合う岡田さん（左）と吉田（右）

【前編】はこちらから

吉田　練馬区にもスタジオツアー東京ができまして、やはり施設に来てそのまま帰るのではなく、練馬のまちでも楽しんでいただける企画をいろいろ仕掛けているところです。ですからハリー・ポッターつながりで、赤坂のまちづくりの考え方は大変参考になります。

岡田　単純なんですけど、何をしたらまちに来てくれる方々が喜んでくれるのだろうと考えると、答えが出てきますよね。いつも言ってるんですけど、私はエンタメの基本って、やはりワクワクさせることだと思うんです。スタジオツアー東京には、これから何百万何千万という人が訪れるでしょう。その来場者のワクワクをサポートするのが、まちの使命ではないでしょうか。ニューヨークのブロードウェイもそうですけど、まちがエンタメを迎え入れる準備をしてくれていますよね。

吉田　いいですね。まちがエンタメを迎え入れるって。

最寄りの豊島園駅がリニューアル。ホグワーツ魔法魔術学校へと続くホグズミード駅をイメージしたデザインに。映画の主要キャストをあしらった電車「スタジオツアー東京エクスプレス」も運行中

岡田　まちの中にハリー・ポッターらしさをちょっと取り入れるだけで、それを「あっ！」と見つけたファンは喜んでくれるはず。「らしさ」は色で表現してもいいし、音でも味でもいい。五感を刺激することですね。そもそも豊島園駅に着いた時点で、みなさん施設への期待で気持ちが高まっていると思います。あとはポンと背中を押してあげれば、どんどんハリー・ポッターの世界に入っていけるのではないでしょうか。

吉田　確かに、来場前からみなさんのテンションは高いですね。魔法使いの扮装で来る方もいるぐらいで。

シティウィザードフェスティバルにて

岡田　ハリー・ポッターファンは「スタジオツアー東京を誘致してくれて練馬区さん、ありがとう！」と思ってるでしょうね。それだけ満足度の高い施設ではないでしょうか。私もプロジェクトの仲間8人で伺いましたが、もうみんな興奮しっぱなしで大変でした。ほうきに乗って写真を撮ったり、カエルのチョコレートが1個付いたソフトクリームを食べたりするだけで、全員のテンションがすごかったです。いい大人たちがすっかり童心に返っていましたね。夢のような素敵な時間を過ごせました。

練馬区を魔法で盛り上げる「ねりまシティ・ウィザード・プロジェクト」の1つとして、区内の飲食店が「魔法メニュー」を開発。写真は「志村電機珈琲焙煎所」の「とろ～りラズベリーのブラッディーオレオ」。魔法の戦いをイメージしたトッピングを施している

吉田　先ほど赤坂のお話を伺って、舞台を観たあとに、作品と同じ世界観になっているまちで、ちょっと1杯飲んでいこうかとか、グッズを買っていこうかという気持ちになる方は多いだろうなと思いました。同様に、スタジオツアーの来場者にも、せっかく来たんだから、もうちょっと練馬で遊んでいこうとか、おいしいものを食べていこうと思っていただきたい。そして、これを機会に練馬の魅力を知ってほしいという想いがあります。

岡田　施設の満足度が高いと、やはりみなさん、そのように行動するのではないでしょうか。すぐ帰りたくはないですよ。「●●がよかったよね、●●もすごかったよね！」って語り合いたくなりますから。

吉田　そうですよね。それで区を挙げて、魔法をテーマにした多様なプロジェクトに取り組んでいます。