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#105NPO法人あそびっこネットワーク代表
中川奈緒美さん

生きる力は、あそびから学ぶ
母としての感動が今の原動力に


 都立光が丘公園でプレーパーク(冒険あそび場)が始まって、もう12年。その一角では、子どもたちがたき火をしたり、木登りしたり、穴を掘ったり…と、普通の公園ではできない冒険的な遊びをを繰り広げています。

 プレーパークの運営や、区内に広める活動をしている「あそびっこネットワーク」。通称:あそびっこの代表・中川奈緒美さんにお話を伺いました。

「勉強と遊びの違いは、『枠』を誰がきめるかです。遊びは、何をするか? どこまでするか? の枠を子どもが決めます。それが、指示されなくても考える力、そして枠のない発想力、どこまでも広がる想像力につながります」

 子どもを本当の意味で賢く強くしたかったら、目一杯あそばせるのがいいのかもしれません。

「でも今の街は昔と違って、子どもがやりたいことができるあそび場が少ないし、異年齢が一緒に遊ぶこともほとんどない。だから、あそびも伝承されていかないんです。例えば、いわゆる鬼ごっこをするTV番組『逃走中』というのがあるんですが、それをプレーパークでやると、300人も集まって『こんな楽しいこと、生まれて初めて!』って言う子もいるんですよ」

 子どもたちの写真から無心であそぶ楽しさが伝わってきます。中川さんがプレーパークを始めたきっかけを伺いました。

「当時、小学生の息子たちが、公園でもゲームをしている姿を目撃してショックだったこと、『秘密基地』を作れる場所がなかったことから、それなら!と、始めてみたら、子どもたちが大喜びで遊ぶ。親の共感が集まる。それで『これは絶対に今、必要なことだ!』と思いました」



4月に開園したこどもの森
皆で作りかえていくあそび場


 2015年4月、氷川台駅徒歩10分の場所にオープンした、練馬区立こどもの森。開園中はどろんこあそびや工作などができる、プレーパークのような公園です。運営するプレイタンクは3社による共同事業体。あそびっこもその1社です。

「こどもの森が、普通の公立公園と一番違うところは、こんな遊びをしたい!という子どもたちの声で"作り変えて"いけること。来るたびに変化があるかも。あそびの専門スタッフ、プレーリーダーが常駐していたり、畑があるのもすごいことなんですよ」

 ワクワクした声を弾ませる中川さん。ここでのあそびっこの役割は、親子に関わりつつ、あそび環境を整え、地域住民の声も拾い上げること。

「区の担当者も何かあればすぐ駆けつけてくれます。プレイタンクと行政、子どもたち、保護者の皆さん、地域の方々…、みんなの声と知恵を合わせて作っている公園は全国でも珍しく、練馬がモデルケースになると思います」

「公園は"まちづくりのひとつ"です。子どもたちが思い切り遊ぶことが真ん中にあって、地域みんなの『イイネ!』が集まる、そんな新しい"まちづくり"を提案しているのがこどもの森です」

 バイタリティあふれる中川さんですが、思春期には大きな悩みも抱え、出産後は体調を壊して、辛い時期もあったそうです。地域が、子育て家庭を孤立させない。親以外にも子どもを気にかけてくれる人や居場所がある。そんな想いも、ご自身の体験から得たもの。

 子ども・自然・地域を育みながら、生きていくうえで大切なものを包容する中川さん。今日も、こどもの森やプレーパークから、子どもたちの元気な声が聞こえます。

(2015年7月10日)

あそびっこのスタッフと、 プレーリーダー(*)

プレーパークで友達と一緒に、 たき火を楽しむ!(*)

公園の斜面を利用した 天然のスライダー! 子どもたちは満面の笑顔(*)

光が丘プレーパークの目玉、 木の上の秘密基地づくり!(*)

子どもの感受性の豊かさに 惹きこまれたという中川さん。 「私にとって、子どもは かわいいというより、面白い!」 (*)…写真提供:あそびっこ

住宅街にあるこどもの森。 土や緑、畑にふれあって、 自由にあそべるのが大きな魅力

学校帰りの女の子グループ、 どろんこを掘って足はドロドロ。 思いきりあそぶって、 何だかカッコいい!

子どもたちと一緒に作った 大人サイズの椅子。 移動しやすいのがポイント!

プロフィール

中川奈緒美さん

中川奈緒美さん

なかがわなおみ 1965年生まれ。大学卒、化粧品会社のプロダクトマネージャーとして、企画、開発に携わる。出産を機に退職し子育てをするうちに、子どもたちが育つ今時の地域課題が気になり、2003年に「あそびっこネットワーク」を立ち上げ、光が丘ひろっぱプレーパークを始める。2011年にNPO法人化。練馬区の「外遊びの場の提供事業補助金」を受託し、区内各地にプレーパークを広める。2015年4月、「練馬区立こどもの森」の運営を受託同月、練馬区補助金「外遊びの場の提供事業」として、乳幼児の親子が外遊びを始めるサポートをする「おひさまぴよぴよ」を開始。趣味は、季節の野菜を使った料理。今は畑作業をする時間がないので、区内農家の軒先にある無人直売所で獲れたて野菜を買うのが楽しみ。1人息子は現在、大学4年生。

NPO法人あそびっこネットワーク
練馬区立こどもの森

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