特集記事 Reviews
#098アニメーション監督・演出家
イシグロキョウヘイさん
原作の魅力をいかに伝えるか
心に残るアニメを作りたい
10月から放送が始まったテレビアニメ「四月は君の嘘」は、ストーリーの面白さ、アニメーションのクオリティの高さに加え、練馬区内の見なれた風景が舞台となり、話題になっています。監督を務めるイシグロキョウヘイさんにお話を伺いました。
「どうすれば原作の魅力を表現できるか、そのことばかり考えています」という、イシグロ監督。あらすじは、母親を亡くしてからピアノが弾けなくなった元天才ピアニストの少年が、自由奔放なバイオリニストの少女に出会い、再びピアノに向き合う。そのふたりを軸に仲間たちの織りなす14歳の世界が、みずみずしく描かれています。
「若い人たちに、心がざわついて、走り出してほしいと思って作っています。恋愛の話も出てきますが、この作品の中にあるのは恋愛の『恋』の部分なんです。恋焦がれて、憧れているという印象。だから演出も、生っぽくならないように、キャラクターの立つ距離感にも気を使っています」
誰もが通る14歳の世界は、鮮やかな映像と音楽で、大人が見ても見ごたえ十分。特に、背景に練馬区が登場するため、まるで自分の身近に彼らが住んでいるような気がしてきます。
「街なかのシーンは、実際に写真を撮ってそれを絵にするんですが、細部に至るまでかなり描き込んでいます。たとえば、練馬文化センターに行った時に、『ああ、ここでバイオリン弾いてたな』と感じてもらえたらうれしい」
「アニメ化するに当たっては練馬区や西武鉄道、病院などの協力的なスタンスがとても有難かったです。練馬区は東映やアニメのスタジオもいっぱいありますし、アニメも『地場産業』のひとつと言えますよね。おかげで、よりリアリティを持たせられたと思います」
ここまでリアリティにこだわる理由は、「アニメだからこそ」とイシグロ監督は語ります。
「この世に存在しないものを、あるように見せるほうが、驚きが多いと思うんです。アニメにすることでストーリーに集中して見てもらえる。結果的に、作品をより深く感じてもらえるんじゃないかと思っています」
アニメだけでは務まらない…
色のない監督になりたい
「中3の時にエヴァンゲリオンを見て、初めてアニメをかっこいいと思った」と、話すイシグロ監督ですが、中学時代は野球、高校から大学までは音楽に没頭し、音楽の話になると、止まらなくなるそうです(笑)。
「目立ちたがり屋だったんで、大学時代はバンドをやり、音楽イベントの企画なんかもしていました。経験や価値観を反映させられたら面白いアニメが作れるんじゃないかと思って、プロデューサーを目指してサンライズに就職しましたが、仕事をするまでアニメをどうやって作るか知らなかった(笑)」
「アニメの現場を目指す人は増えてほしいですが、僕みたいに演出する側の人間は、アニメがすべてではたぶん務まらない。もちろんアニメが好きじゃないとできないけど、色んなものを経験したほうがいいと思います」
「四月は君の嘘」は、イシグロ監督にとって初めての監督作品。一話作るのに3、4か月かかり、複雑な工程に関わるスタッフは70人以上だそう。
「シナリオの整理や、キャラの性格を考えての演出。一枚一枚の絵、声や音楽など、あらゆる段階で指示を出すことになりますので、けっこう作業量は多いですね。パティシエをしている親戚がいるんですが、お菓子を作るのではなく、レシピを考えるのが仕事だと聞きました。自分もそれと同じだと感じています」
インタビューの最後に、監督自ら「これは絶対に心に残る作品になると思うし、最後まで見るとすごいことになる!」と、太鼓判を押した「四月は君の嘘」は2015年3月までの放送で全22話。練馬のアニメの歴史に、新たな記憶が刻まれるのを見届けたいですね!
(2014年12月2日)
心に残るアニメを作りたい
10月から放送が始まったテレビアニメ「四月は君の嘘」は、ストーリーの面白さ、アニメーションのクオリティの高さに加え、練馬区内の見なれた風景が舞台となり、話題になっています。監督を務めるイシグロキョウヘイさんにお話を伺いました。
「どうすれば原作の魅力を表現できるか、そのことばかり考えています」という、イシグロ監督。あらすじは、母親を亡くしてからピアノが弾けなくなった元天才ピアニストの少年が、自由奔放なバイオリニストの少女に出会い、再びピアノに向き合う。そのふたりを軸に仲間たちの織りなす14歳の世界が、みずみずしく描かれています。
「若い人たちに、心がざわついて、走り出してほしいと思って作っています。恋愛の話も出てきますが、この作品の中にあるのは恋愛の『恋』の部分なんです。恋焦がれて、憧れているという印象。だから演出も、生っぽくならないように、キャラクターの立つ距離感にも気を使っています」
誰もが通る14歳の世界は、鮮やかな映像と音楽で、大人が見ても見ごたえ十分。特に、背景に練馬区が登場するため、まるで自分の身近に彼らが住んでいるような気がしてきます。
「街なかのシーンは、実際に写真を撮ってそれを絵にするんですが、細部に至るまでかなり描き込んでいます。たとえば、練馬文化センターに行った時に、『ああ、ここでバイオリン弾いてたな』と感じてもらえたらうれしい」
「アニメ化するに当たっては練馬区や西武鉄道、病院などの協力的なスタンスがとても有難かったです。練馬区は東映やアニメのスタジオもいっぱいありますし、アニメも『地場産業』のひとつと言えますよね。おかげで、よりリアリティを持たせられたと思います」
ここまでリアリティにこだわる理由は、「アニメだからこそ」とイシグロ監督は語ります。
「この世に存在しないものを、あるように見せるほうが、驚きが多いと思うんです。アニメにすることでストーリーに集中して見てもらえる。結果的に、作品をより深く感じてもらえるんじゃないかと思っています」
アニメだけでは務まらない…
色のない監督になりたい
「中3の時にエヴァンゲリオンを見て、初めてアニメをかっこいいと思った」と、話すイシグロ監督ですが、中学時代は野球、高校から大学までは音楽に没頭し、音楽の話になると、止まらなくなるそうです(笑)。
「目立ちたがり屋だったんで、大学時代はバンドをやり、音楽イベントの企画なんかもしていました。経験や価値観を反映させられたら面白いアニメが作れるんじゃないかと思って、プロデューサーを目指してサンライズに就職しましたが、仕事をするまでアニメをどうやって作るか知らなかった(笑)」
「アニメの現場を目指す人は増えてほしいですが、僕みたいに演出する側の人間は、アニメがすべてではたぶん務まらない。もちろんアニメが好きじゃないとできないけど、色んなものを経験したほうがいいと思います」
「四月は君の嘘」は、イシグロ監督にとって初めての監督作品。一話作るのに3、4か月かかり、複雑な工程に関わるスタッフは70人以上だそう。
「シナリオの整理や、キャラの性格を考えての演出。一枚一枚の絵、声や音楽など、あらゆる段階で指示を出すことになりますので、けっこう作業量は多いですね。パティシエをしている親戚がいるんですが、お菓子を作るのではなく、レシピを考えるのが仕事だと聞きました。自分もそれと同じだと感じています」
インタビューの最後に、監督自ら「これは絶対に心に残る作品になると思うし、最後まで見るとすごいことになる!」と、太鼓判を押した「四月は君の嘘」は2015年3月までの放送で全22話。練馬のアニメの歴史に、新たな記憶が刻まれるのを見届けたいですね!
(2014年12月2日)
TVアニメ「四月は君の嘘」 毎週木曜25時20分〜 フジテレビ"ノイタミナ" ほかにて放送中!(*)
14歳の彼らの青春が 詰まった作品です(*)
写真を元に描写された 大泉学園通りの 桜並木の風景(*) *…上記3枚は写真提供 ©新川直司・講談社/ 「四月は君の嘘」製作委員会
1話ごとに1冊の シナリオ・絵コンテ。 これを元にアニメが制作される
練馬区観光協会発行の 「区内ロケーションMAP」 アニメで使用された場所を 紹介しています。 配布場所はこちら
「Coconeri」3階 産業・観光情報コーナーでは、 キャラクターのボードや パネル展示で作品を紹介
イシグロさんのサイン。 学生のバンドをしていた時に すでに考えてあったそう(笑)
「自分の色を持つよりも、 同じ監督なのに仕上りが 全然違う、というのが理想です」 クレバーな語り口が印象的な イシグロ監督。 次の作品も楽しみです!
プロフィール
イシグロキョウヘイさん
1980年生まれ。出身は神奈川県秦野市、結婚を機に練馬区に転居。幼少期は、「勇者シリーズ」や「ドラゴンボール」などを見て育つ。中学は野球、高校生以降は60年代のロックにはまり、バンドではドラムを担当。学生時代は商学部で簿記などを勉強。2005年、アニメ制作会社「サンライズ」に入社。「ガンダム」はちゃんと見ておらず、それでも入社できたことを今でも不思議に思っている。2009年に演出家に転身、2011年に会社を辞めてフリーに。「となりの怪物くん」「団地ともお」などの演出を手がける。2014年10月から「四月は君の嘘」で初監督。昨年結婚した奥様は、本作品でキャラクターデザインを努める愛敬由紀子さん。二人ともアニメが好きなので、家庭内でも自然と仕事の話になることが多いそう。練馬で好きな場所は石神井公園。特に、桜の季節に池の周りをブラブラすることが好き。
STUDIOCHOP
(イシグロキョウヘイHP)