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#061 ホテルカデンツァ光が丘 中国料理 白楽天 料理長
劉 和平(リュウ ワヘイ)さん

大切なのは、常に学ぶ姿勢と
心をこめて料理すること


 練馬産キャベツを使った「練馬野菜餃子」のキャンペーンが、11月からスタートします! 昨年からキャンペーンに参加している白楽天の料理長で、本場中国出身の劉さんにご登場頂きました。

 「練馬野菜餃子はおかげ様で、お客様から高評価を頂いています。ご家庭で作れるよう、普通の食材を使い、レシピも公開しているんですが、家と違うのは、秘伝のタレを使っていることですね」

 そう語る白楽天流餃子の特徴は、油で炒めた卵で、香りを出していること。発酵豆腐を使った「秘伝」の甘辛タレが、その味に深みを加えます。女性客が多いこともあり、今年はひと回り小さくした分、数を増やし6個入り500円というお得感もうれしいポイント!

 「練馬産のキャベツは、甘みと水分が強くて、シャキシャキしています。餃子に合うよう、ボイル・塩もみして食感を残す工夫をしているんですよ。付け合わせは、練馬産の大根のお漬物です。本当は練馬大根を使いたいですけど、手に入らないので…(笑)。そもそも当ホテル自体が、地域密着をモットーに、地元産の素材を多く採り入れているんです」

 和洋中がそろったホテルならではの長所を活かし、部署を超えた勉強会も開催しているそうです。中華を洋風に盛り付けたり、和の食材を使ったり、洋食に中華のソースを使ったり…。味の国境を越えた料理は、披露宴でも人気です。

 「中華の料理教室を開くと、和食の担当が見に来てくれたりして、面白いですね。逆に和食を見て、自分たちが学ぶことも多いです。常に見て学ぶ姿勢が大事ですから。和食は、食材の色や味を壊さず、大切にしているところがいいですね」

 いろんな勉強ができて楽しい! と微笑む姿に、仕事への熱意が伝わってきます。

 「技術はもちろん大事ですが、若い人には、“心”を最優先に教えたい。同じ料理でも、心をこめて作らないと、おいしいものはできないんです。最近、安いものが喜ばれる傾向にあり、安くておいしいに越したことはない。そのバランスは難しいのですが、でもまずは心で料理することだと思っています」



トローッと舌で溶けたワンタン
脳の中にしみこんだ、父親の味 


 父親が点心の料理人で、その背中を見て育った劉さん。大人になったら料理人になろう、と自然と思うようになったそうです。

 「小学校の頃、父が作ってくれたワンタンの味が、脳内にしみこんで忘れられないんです。トローッと溶ける、あの手作りの味…今までいろいろな店で働いてきましたが、あの味には出会ったことがありません。自分でマネしても、同じにならないんですよ。今の自分があるのも、あの味がきっかけかもしれませんね。仕事を始めたばかりの頃は不安そうでしたが、2~3年してできるようになってくると、父も喜んでくれました」

 父の味を胸に、遠く日本までやって来た劉さん。そんな劉さんから見た、練馬のよさとは?

 「最初は池袋に住んでいたんですが、練馬は都心とちょっとだけ離れていて、便利だけど静かなのがいいですね。お隣さんも、お野菜を分けてくれたり、みなさん親切で、いいなあと思います。石神井川を自転車で走って、石神井公園まで行くのも好きですね。特に桜の季節は、すごくキレイ。中国には日本ほど桜がないので、来日するまで、桜があんなにキレイだって知りませんでした」

 東日本大震災の後も、帰国の意志はまったくなかったといいます。理由は、支え合えるご近所や仕事仲間がいて「ひとりじゃないから」。

 「大混乱になってもおかしくないのに、不安ななかでも落ち着いてお互い助け合っている、日本の様子を見て驚きました。今、ホテルには中国の観光客が普通に訪れます。お話しても、『特に不安はない、日本は大丈夫!』とお客様がおっしゃっています」

 日本を想ってくれる劉さんの“心”こそが、国境を越えて愛される、おいしさの秘訣なのかもしれません。

(2011年11月1日更新)

練馬野菜餃子の
食べ歩きマップの表紙。
たくさん食べ歩いてください!
詳細はこちら


餃子目当てでホテルに
訪れるお客様も多いそうです


ホテル カデンツァ 光が丘は
おしゃれな都市型ホテル。
1階のフロント左側に
白楽天があります
(写真提供:
ホテル カデンツァ 光が丘)


白楽天の入口


落ち着いた店内。
個室もあります


石神井公園の桜と三宝寺池。
劉さんが練馬区内で
とても好きな場所です


「お客様は神様」と
教えられてきたという劉さん。
丁寧な対応に実直な
仕事ぶりが伺えます

プロフィール

劉 和平(リュウ ワヘイ)さん

劉 和平(リュウ ワヘイ)さん

1960年生まれ、中国武漢市に生まれ育つ。父親が点心の職人で、中国で8年修業ののち、1985年に来日、中央飯店(池袋)で数年働く。1998年、当時の料理長に誘われ、一緒にホテルカデンツァ光が丘に移る。2003年、白楽天の料理長に就任。練馬に住み始めて、5年たつ。

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