特集記事 Reviews

#057 きたまち阿波おどり 実行委員長
清野 勝巳さん

地元の元気が日本の元気に!
今年の阿波おどりも実行を決意


 夏はお祭りで、“熱く”燃え上がる季節! ということで、今年19回目を迎える「きたまち阿波おどり」の実行委員長、清野さんをお迎えしました。

 「川越街道の宿町だった北町にふさわしい町おこしを、ということで始めたのが1993年のこと。そうしたら、第1回で『今までこんなに人集まったことがない!』というくらい賑わって…2回目もやめられないね、ということになったんです」

 かくしてスタートしたきたまち阿波踊り、今年は1,700人26連という華やかさ! きたまち商店街は若者メインの「じゃじゃ馬連」、ニュー北町商店街は子どもを中心にした「ぽんぽこ連」という地元の連が2つあり、それぞれリズムも違い、表現が対照的なのも見どころの一つです。

 「踊りのクライマックスになる『輪おどり』を、最初に持ってくるのも北町ならではです。輪おどりを踊らないと、踊り手の満足度が違うんですよ。ちなみに、今までで一番印象に残っている年は、どしゃ降りだった第5回ですね。傘を差してあげたくなるほどの豪雨なのに、逆に踊り手もギャラリーも『雨に負けまい!』とすごく盛り上がったんです」

 逆境があるほどみんなが一つになれる…、それがお祭りの魅力なのかもしれませんね。

 「今年は大震災や原発の問題があって、実行しようか悩んだのですが、お祭りをきっかけに地元を元気にしたかったんです。やっぱり地元の元気こそが、日本の元気につながりますからね。相当の人出があるので、義援金も募ります」



地域の結びつきを取り戻したい
子どもとハイタッチできる関係に


 落ち着いた話しぶりの中に、地元への愛がしみじみ伝わってくる清野さん。地域行事にも、積極的に関わっています。

 「青少年育成委員会第八地区の会長として、飯ごう炊さん、キャンプ、地区祭など、年7回のイベントを開催しています。北町は小中学校が1つずつしかないので、まとまりがいいんですよ。今では、“ハイタッチ”できるくらい仲良しの子どももいるんです。『知らない人に声をかけられても返事しちゃダメ』という世の中ですが、顔見知りになれば、“知らないオジサン”じゃなくなりますからね(笑)。地域の輪が薄れた時代だからこそ、地域を結びつける行事が大切なんじゃないかなと。もともと子育てというのは、地域でやるもの…少しずつでも、垣根をとり払っていきたいですね」

 阿波おどりも地域をつなげる一環で、日本人のアイデンティティを体験させることにもつながる、と清野さん。練馬の伝統文化の研究にも精力的です。

 「練馬の農家が七夕に作っていた『ちがや馬飾り』の保存会や、東武啓志線(ケーシー線)にも興味があるんです。啓志線は、上板橋から光が丘をつないでいた引き込み線。今は第八地区委員会の出張所に、路線図と線路の実物を飾っているんですが。『こんな所にも蒸気機関車が走ってたんだ!』というのが面白いですね。と言いながら、私が小学生の時それを見ていた当時は、SLなんて当たり前の光景だったんですが(笑)」

 北町の歴史を知る清野さんは、北町生まれ、北町育ち。創業60年の靴屋の2代目です。

 「東武練馬駅北口に大型ショッピングセンターのサティ(現・イオン)ができ、流行の靴を販売しています。同じことをやっては生き残れないと、シューフィッターの資格をとりました。昔から勉強は好きじゃないのですがね(笑)。今は中高年向けに“正しい靴”をオススメしています。日本家屋の性質上、どうしても脱ぎ履きしやすいゆるめの靴を選びがちですが、靴内にスキ間があると、転びやすく、骨折から寝たきりにつながる危険性がある。また、今の若い人は足自体が細く、甲や幅が発達していない。子どもの足も危ないと言われています。だからこそぜひ、自分に合った正しい靴を履いてほしいですね!」

 最後にわかりやすく靴の大切さを解説してくれた清野さん。物腰柔らかで信頼できる姿勢に、思わず“北町の紳士”と呼びたくなったのでした!



 

(2011年7月5日更新)


じゃじゃ馬連の男おどり
(2010年の様子)


じゃじゃ馬連の女おどり
(2010年の様子)


ぽんぽこ連の元気のいい踊り
(2010年の様子)


第18回 阿波おどり当日、
清野会長のあいさつ
(2010年の様子)


今年の街路の提灯は、
節電のため発電機を使用


キレイにディスプレイされた
清野さんの店舗
コンドル靴店


デンマーク王室御用達で
世界的に有名な
「コンフォート・シューズ」
を扱っている


「好きなことは喋りだすと
止まらない!」という清野さん。
少年心も忘れていない!?

プロフィール

清野 勝巳さん

清野 勝巳さん

練馬区北町生まれ、北町育ち。きたまち商店街振興組合理事長。「父親の仕事ぶりが大変そうで、継ぎたくなかった」と笑いつつも、「コンドル靴店」の2代目になって約30年経つ。夫婦でシューフィッターの資格を取得し、現在は中高年向けの専門店として信頼を得ている。趣味は鉄道で、青春18きっぷを愛用。最近は、木更津の久留里線で昔なつかしの「タブレット交換」が見られて、感動したとか。練馬で好きな場所は光が丘公園。靴屋だけに、健康のためにも休みの日は歩くことを心がけている。

きたまち阿波おどり
エコーショップ コンドル靴店

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