太極拳の動きから
思いやりの心を学ぶ

　当サイト「ねりま大好き！」に、2月から５か国語の観光スポットの掲載がされるようになり、練馬区で活躍されている外国人の方にスポットを当てました。お話を伺ったのは、東大泉で真気導引整体院を営んでいらっしゃる中国出身の劉さん。太極拳や気功などを通じて国際交流にも力を入れています。

　「日本に興味を持ったきっかけは、1980年頃、中国で『燃えろアタック』（中国名：排球女将）という日本のバレーボールドラマが放映され、大ブームになりました。それと同時期、マラソンの瀬古利彦さんが活躍していて、私はもともと陸上の長距離をしていたので、富士山の近くでマラソンをするのが当時の夢でした」

　すらすらっと言葉が出てくる、とても日本語が上手です！　優しい笑顔で物腰が柔らかく、お話しているこちらまで和やかな気持ちにさせられます。

　「中国では北京体育大学で授業評価の仕事をしていたんです。その頃、うちの大学は日本の筑波大学や早稲田大学と交流があり、日本へ行ってきた友人もいました。私も教育のことを勉強したいと思い日本へ来ました。もともと日本の教育には関心があったんです」

　始めは日本語学校で言葉を学び、その後、東京学芸大学へ入学。文化の違いや人間関係でもいろいろご苦労があったことでしょう。強固な意志と不屈の精神を培ってくれたのは、劉さんご自身の人間性ではあると思いますが、太極拳にも関係あり？

　「日本の歩道って狭いじゃないですか。それでも皆ぶつからないでうまく通っている。ようするに『ゆずりあい』の心です。太極拳の動きと共通する部分があるんです。太極拳も後ろに身を引いてから前に出るなど、空間をうまく使って動きます。人に優先してあげたり、思いやりを持つという私個人の解釈につながってくるんです」

　現在、太極拳教室の生徒さんは10名前後。60代以上の方がメインです。あえて募集をするのではなく、劉さんが経営している真気導引整体院へ来ていただいている患者さんに健康づくりの一環として声かけをし、クチコミで広がっていくのだそう。

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国際交流も地域活動も
自分で動くことが大事

　「自分の仕事以外に勉強したいのが、地域での活動や国際交流ですね。学校が国分寺だったので、最初は国分寺市の国際交流協会がやっている日本語教室に参加し、外国人がいっぱいいる中で自分は何をやったらいいか？　と考えました。もともとスポーツをやってきた人間なので太極拳を通じてコミュケーションの場を作れればと、国際交流協会で太極拳サークルを始めました」

　練馬区国際交流事業推進連絡会委員になって３年目だそうですが、その中でどんなことを感じましたか？

　「自分自身で活動しないと駄目なんだと思いました。それで昨年末、勤労福祉会館の料理室を借りて餃子パーティーをしました。整体院に通ってきてくださる患者さん同士が交流を持てる場を作ったんです。皆さんとても喜んでくれました」

　その他にも、「大泉の宝店を目指す会」の会合でアニメなど練馬区の文化を発信しようと話し合っているとか。地元を愛する気持ちが伝わってきます。精力的に活動している劉さんですが、何年か前までは中国へ帰ろうと思っていたそうです。

　「日本で学んだことを中国へ持ち帰って役に立てたいと思ってました。だけど今はインターネットの時代、日本にいながら中国へ向けて情報を発信しようと考えています。学ぶことにまだまだ満足していないのです」

　日本永住のビザも取れ、ますます文化や国際交流の架け橋的な活動に力が入りますね！

(2011年2月1日更新）