#046 「ナカタヤ」副社長・店長
中田 渉さん
公開:2010.07.01
ブルーベリーから広がる
「地産地消」の練馬の輪
7月はいよいよ、「ブルーベリー観光農園」でブルー
ベリー狩りが始まります。暑い季節にもぎたての実をひとつ…もいいけれど、デザートに使われるブルーベリーも甘酸っぱくて美味しいもの。というわけで、練馬産のブルーベリーを洋菓子に採り入れているナカタヤさんにお邪魔しました。
「約1年前に、大泉の農家、和・洋菓子屋、酒屋が集まり、『練馬ベリー交流会』を結成しました。イチゴとブルーベリーを産地直販し、新メニュー開発にもチャレンジしています。まずは皆さん、ナカタヤより先に(笑)、農園に足を運んでください! たとえば関口農園さんは野球場並みに敷地が広く、小さなミツバチが巣箱から飛び回るんです。その姿があまりに懸命で、笑っちゃうほどかわいいですよ。僕たちは、そうやって地元で採れた果実でお菓子を作らせて頂いています。だからお菓子を食べた人が興味を持って農園を訪れて、輪が広がったらうれしいですね」
日々研究を重ねつつ、ナカタヤでは現在ブルーベリータルトやゼリーなどを販売中。他にもいろいろなお菓子を研究中です。
「今はまだ、ブルーベリーの可能性を探っている段階です。でも、新しいものは出会いから生まれるもの。交流会でもブルーベリーを通じ、農家の方々との素敵な出会いがありました。畑の多い練馬だからこそできた縁ですね。『地産地消』という考え方がありますが、『四里四方に病なし』という昔からの言葉もあります。四里(16km) 圏内のものを食べていると健康にいいそうです。16km というと、ちょうど練馬区が入るくらい。ブルーベリーの輪が、いずれ練馬区全体に広がったらいいなあと思っています」
最高の学習方法は
遊びながら体験すること
練馬区から東京都、そして世界へ…。全国各地にあるブルーベリー協会が一つになって、世界に伝わったらいい。そんな大望も抱いている中田さんには、もう一つ夢があるそうです。
「ナカタヤは現在、大泉と光が丘の2店舗ですが、いずれフランスにも出店するのが夢なんです。そうすれば、スタッフ同士の交換留学ができるじゃないですか。同じ系列の店で、お互いの国の文化が学べるなんて、最高ですよね」
“遊び”を重視するのは、中田さんの父・ナカタヤ社長の方針だそうです。休日になると、社長の実家がある信州の果樹園に、スタッフを温泉がてら連れて行くと言います。
「遊び気分で収穫や土いじりを手伝ってもらいます。そうすると、果実がどう実るのかを体で会得するようになる。厨房でケーキに果物を飾る時、自然と果物一つ一つの“ 表情” を大切にするようになるんです。経験することで、深いところに意識が宿るんでしょうね」
何事も楽しみ、遊びながら学ぶこと。従業員にとっては最高の仕事場じゃないかと思えるような環境方針には、中田さんの過去とも深い関わりがありました。
「父がこの店を始めたのが50年前。私は物心ついた頃からお店で遊んでいました。クリスマスの手伝いなんか、お祭りみたいで楽しかったですね。いたずらばかりしていたので、スタッフからは嫌がられていたんじゃないかと思いますが(笑)。だから僕にとってケーキ屋を継ぐのは、当たり前の感覚だったんです」
ヨーロッパに数年留学した後、生まれ育った大泉で店長となった中田さん。現在、「江戸しぐさ」を勉強中だそうです。
「自分の気持ちがよくなるには、まず相手の気持ちをよくすること。それには譲り合いの精神が必要だというのが『江戸しぐさ』の根本です。経営にも同じことが言えるのですが、生産者が食材を作り、それを私たちがケーキに変え、お客様の命の一部になる。誰もがプレゼントしてもらいながら、プレゼントしているんです。そういう交流が自然とある町、本当の思いやりのある社会にするお手伝いを、ケーキ作りを通して、少しでもやっていけたらいいですね」
「江戸しぐさ」の心なのか、取材陣にも常に気を配ってくださった中田さん。ふんわりした穏やかな人柄は、たとえるならシフォンケーキのよう。店内がのんびり落ち着く空間なのも、そのせいかもしれませんね。
「地産地消」の練馬の輪
7月はいよいよ、「ブルーベリー観光農園」でブルー
ベリー狩りが始まります。暑い季節にもぎたての実をひとつ…もいいけれど、デザートに使われるブルーベリーも甘酸っぱくて美味しいもの。というわけで、練馬産のブルーベリーを洋菓子に採り入れているナカタヤさんにお邪魔しました。
「約1年前に、大泉の農家、和・洋菓子屋、酒屋が集まり、『練馬ベリー交流会』を結成しました。イチゴとブルーベリーを産地直販し、新メニュー開発にもチャレンジしています。まずは皆さん、ナカタヤより先に(笑)、農園に足を運んでください! たとえば関口農園さんは野球場並みに敷地が広く、小さなミツバチが巣箱から飛び回るんです。その姿があまりに懸命で、笑っちゃうほどかわいいですよ。僕たちは、そうやって地元で採れた果実でお菓子を作らせて頂いています。だからお菓子を食べた人が興味を持って農園を訪れて、輪が広がったらうれしいですね」
日々研究を重ねつつ、ナカタヤでは現在ブルーベリータルトやゼリーなどを販売中。他にもいろいろなお菓子を研究中です。
「今はまだ、ブルーベリーの可能性を探っている段階です。でも、新しいものは出会いから生まれるもの。交流会でもブルーベリーを通じ、農家の方々との素敵な出会いがありました。畑の多い練馬だからこそできた縁ですね。『地産地消』という考え方がありますが、『四里四方に病なし』という昔からの言葉もあります。四里(16km) 圏内のものを食べていると健康にいいそうです。16km というと、ちょうど練馬区が入るくらい。ブルーベリーの輪が、いずれ練馬区全体に広がったらいいなあと思っています」
最高の学習方法は
遊びながら体験すること
練馬区から東京都、そして世界へ…。全国各地にあるブルーベリー協会が一つになって、世界に伝わったらいい。そんな大望も抱いている中田さんには、もう一つ夢があるそうです。
「ナカタヤは現在、大泉と光が丘の2店舗ですが、いずれフランスにも出店するのが夢なんです。そうすれば、スタッフ同士の交換留学ができるじゃないですか。同じ系列の店で、お互いの国の文化が学べるなんて、最高ですよね」
“遊び”を重視するのは、中田さんの父・ナカタヤ社長の方針だそうです。休日になると、社長の実家がある信州の果樹園に、スタッフを温泉がてら連れて行くと言います。
「遊び気分で収穫や土いじりを手伝ってもらいます。そうすると、果実がどう実るのかを体で会得するようになる。厨房でケーキに果物を飾る時、自然と果物一つ一つの“ 表情” を大切にするようになるんです。経験することで、深いところに意識が宿るんでしょうね」
何事も楽しみ、遊びながら学ぶこと。従業員にとっては最高の仕事場じゃないかと思えるような環境方針には、中田さんの過去とも深い関わりがありました。
「父がこの店を始めたのが50年前。私は物心ついた頃からお店で遊んでいました。クリスマスの手伝いなんか、お祭りみたいで楽しかったですね。いたずらばかりしていたので、スタッフからは嫌がられていたんじゃないかと思いますが(笑)。だから僕にとってケーキ屋を継ぐのは、当たり前の感覚だったんです」
ヨーロッパに数年留学した後、生まれ育った大泉で店長となった中田さん。現在、「江戸しぐさ」を勉強中だそうです。
「自分の気持ちがよくなるには、まず相手の気持ちをよくすること。それには譲り合いの精神が必要だというのが『江戸しぐさ』の根本です。経営にも同じことが言えるのですが、生産者が食材を作り、それを私たちがケーキに変え、お客様の命の一部になる。誰もがプレゼントしてもらいながら、プレゼントしているんです。そういう交流が自然とある町、本当の思いやりのある社会にするお手伝いを、ケーキ作りを通して、少しでもやっていけたらいいですね」
「江戸しぐさ」の心なのか、取材陣にも常に気を配ってくださった中田さん。ふんわりした穏やかな人柄は、たとえるならシフォンケーキのよう。店内がのんびり落ち着く空間なのも、そのせいかもしれませんね。
(2010年7月1日更新)
練馬産のブルーベリー! 各農園に
よって粒の大きさも甘さも異なる。
食べ比べるのもおもしろい
自然のブルーベリーは糖度が高い。
この甘さをいかに引き立てるか、
追究するのが楽しいと語る中田さん
ストロベリー、ブルーベリーなどが
誇らしげに飾られています!
中田家外観。
店舗は東映撮影所に近く、
番組で使われるケーキの
注文も入る。
配達がてら、撮影所に
近所の子ども達を
見学に連れて行くこともある
店内にはおいしそうな
ケーキがずらり…。
どれにしようか目移りします!
ナカタヤ本店のスタッフ。
皆さん、いい笑顔ですね
(中田さん写真提供)
2階はカフェになっていて、
月に1回、サロンコンサートが
開催されている
サロンコンサートの様子
(中田さん写真提供)
中田さんは子ども達との
交流も大切にする
素敵なお父さんでもあります!
1972年、大泉学園生まれ。創業1959年の欧風洋菓子ナカタヤの長男として、小さい頃から店のお菓子作りを見て育つ。イギリスに4年、フランスに1年留学した後、ナカタヤに戻る。現在は副社長兼店長を勤めるかたわら、「練馬ベリー交流会」のメンバーとして、ブルーベリーを使った洋菓子を研究している。練馬区で好きなお店は、家族で月に何度も食べに行くという「とんかつ まるとし」(北町)。
欧風洋菓子 ナカタヤホームページ
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