特集記事 Reviews
#029 「La毛利」オーナーシェフ
毛利 彰伸さん
ご縁と可能性にかけ、
都会のオアシスへ移転!
いま地元野菜が見直されています。地元野菜をふんだんに使った料理で多くのファンを魅了する、大泉町の欧風レストラン「La毛利」のオーナーシェフ毛利彰伸さんをたずねました。
以前は保谷にお店があったそうですが、大泉に移転した理由は?
「保谷の店からおつき合いのある白石農園さんに声をかけていただいたのがきっかけですが、決定打となったのは、やはりこのロケーションですね。どんどん農地が減っていく23区で、これだけ畑のそばに店を建てられる機会はそうそうありません。駅から遠くなり、営業的な心配はありましたが『駅前ならまたできる』と頭を切り替え、ご縁と可能性にかけました」
それが見事に的中したわけですね(笑)。地元野菜の魅力を教えてください。
「鮮度と安さ、その前においしさです。それに地元とのおつき合いが密になると、この野菜は誰さんが作ったというところまで把握できます。作り手の顔が見えることは、提供する側にとって大きな魅力ですし、お客さまにとっても安心ですよね。わざわざ特別なものを使うのではなく、近くで新鮮な素材が手に入る…。これは大きいです。お客さまに、普段当たり前に使っている野菜がこんなにおいしいものだとわかっていただけたらうれしいですね」
「いつも」より「いま」を食べる
旬の豊かさを伝えたい
練馬といえば大根が有名ですが、最近はいちごの栽培にも力を入れているそうですね。
「はい。でも案外ご存じないお客さまも多いので、提供するとき『これは南大泉のいちごですよ』とひと言添えるようにしています。すると帰り際に『どこで買えますか』とお問い合わせがくる。お客さまがその農家へ足を運んでくだされば、農園主さんや我々にとってもやりがいにつながります。こうして当店が発信源となって一つの経済サイクルができたらいいなと思いますね」
すべての野菜を地場でまかなっているのでしょうか?
「いいえ(笑)。いつでも食べられる野菜は、逆に言えば旬でないということ。トマトなどのようにどうしても必要なものは買いますが、基本的に『いま』採れる旬の野菜を使う、それが店のポリシーです。でも私は野菜だけにこだわっているわけではありません。野菜本来のおいしさを味わっていただきたいとは思いますが、そのおいしさを引き出すためには肉や魚も必要です。それらから出るダシの風味も含めて、一つの料理として仕上げています」
「いじらない」が毛利流!
直球勝負にプロの技が光る
お料理の素直な旨味、ほどよいボリュームとダイナミックな盛り付けに、素材の持ち味がよく活かされていますね。
「これが僕のスタイルです。野菜の食べ方には、ほうれん草やブロッコリーをムースに仕立て、お客さまに『この緑色は何だろう?』と思わせ、口に入れて初めて気づかせるといった手法などいろいろあると思います。でも、僕は素材そのものを見せる方法を選択しました。一見、手が込んでいないと言えなくもないですが(笑)、野菜の形を変えて創造性で勝負するより、野菜本来の食感や甘みを味わっていただきたい。切り方やゆで方など、ご家庭と違うひと工夫はしてますが、あえて言えば『できるだけいじらない』ようにしてます。それがわざわざ農園の近くに移ってきた意味ではないかなと」
奇をてらわず、素材で真っ向勝負! 自然体、だからこそ手を抜かないプロの技が光るのでしょうね。
繁忙期は、風邪を引く暇もないほど忙しい毛利さん。健康の秘訣は? の問いには、
「ストレスをかけない。無理しない。やりたいことをやる」(笑)。その一つが、秋田の工房での自家製ハム作り。
「12月~2月のこの時期、休みを作って毎年仕込みに行っています。こうしてあえて外へ出て行くことがいいリフレッシュになり、新たなインスピレーションにつながる」とか。でも、普段は休みの日でもお店の厨房にいることが多く、先日もより働きやすいようにと自作の棚をしつらえたそうです。
お客さまに飽きず楽しんでいただくため、今日もお店と料理に新しい息を吹き込む毛利さん。仕込んだハムのでき上がりも楽しみですね!
都会のオアシスへ移転!
いま地元野菜が見直されています。地元野菜をふんだんに使った料理で多くのファンを魅了する、大泉町の欧風レストラン「La毛利」のオーナーシェフ毛利彰伸さんをたずねました。
以前は保谷にお店があったそうですが、大泉に移転した理由は?
「保谷の店からおつき合いのある白石農園さんに声をかけていただいたのがきっかけですが、決定打となったのは、やはりこのロケーションですね。どんどん農地が減っていく23区で、これだけ畑のそばに店を建てられる機会はそうそうありません。駅から遠くなり、営業的な心配はありましたが『駅前ならまたできる』と頭を切り替え、ご縁と可能性にかけました」
それが見事に的中したわけですね(笑)。地元野菜の魅力を教えてください。
「鮮度と安さ、その前においしさです。それに地元とのおつき合いが密になると、この野菜は誰さんが作ったというところまで把握できます。作り手の顔が見えることは、提供する側にとって大きな魅力ですし、お客さまにとっても安心ですよね。わざわざ特別なものを使うのではなく、近くで新鮮な素材が手に入る…。これは大きいです。お客さまに、普段当たり前に使っている野菜がこんなにおいしいものだとわかっていただけたらうれしいですね」
「いつも」より「いま」を食べる
旬の豊かさを伝えたい
練馬といえば大根が有名ですが、最近はいちごの栽培にも力を入れているそうですね。
「はい。でも案外ご存じないお客さまも多いので、提供するとき『これは南大泉のいちごですよ』とひと言添えるようにしています。すると帰り際に『どこで買えますか』とお問い合わせがくる。お客さまがその農家へ足を運んでくだされば、農園主さんや我々にとってもやりがいにつながります。こうして当店が発信源となって一つの経済サイクルができたらいいなと思いますね」
すべての野菜を地場でまかなっているのでしょうか?
「いいえ(笑)。いつでも食べられる野菜は、逆に言えば旬でないということ。トマトなどのようにどうしても必要なものは買いますが、基本的に『いま』採れる旬の野菜を使う、それが店のポリシーです。でも私は野菜だけにこだわっているわけではありません。野菜本来のおいしさを味わっていただきたいとは思いますが、そのおいしさを引き出すためには肉や魚も必要です。それらから出るダシの風味も含めて、一つの料理として仕上げています」
「いじらない」が毛利流!
直球勝負にプロの技が光る
お料理の素直な旨味、ほどよいボリュームとダイナミックな盛り付けに、素材の持ち味がよく活かされていますね。
「これが僕のスタイルです。野菜の食べ方には、ほうれん草やブロッコリーをムースに仕立て、お客さまに『この緑色は何だろう?』と思わせ、口に入れて初めて気づかせるといった手法などいろいろあると思います。でも、僕は素材そのものを見せる方法を選択しました。一見、手が込んでいないと言えなくもないですが(笑)、野菜の形を変えて創造性で勝負するより、野菜本来の食感や甘みを味わっていただきたい。切り方やゆで方など、ご家庭と違うひと工夫はしてますが、あえて言えば『できるだけいじらない』ようにしてます。それがわざわざ農園の近くに移ってきた意味ではないかなと」
奇をてらわず、素材で真っ向勝負! 自然体、だからこそ手を抜かないプロの技が光るのでしょうね。
繁忙期は、風邪を引く暇もないほど忙しい毛利さん。健康の秘訣は? の問いには、
「ストレスをかけない。無理しない。やりたいことをやる」(笑)。その一つが、秋田の工房での自家製ハム作り。
「12月~2月のこの時期、休みを作って毎年仕込みに行っています。こうしてあえて外へ出て行くことがいいリフレッシュになり、新たなインスピレーションにつながる」とか。でも、普段は休みの日でもお店の厨房にいることが多く、先日もより働きやすいようにと自作の棚をしつらえたそうです。
お客さまに飽きず楽しんでいただくため、今日もお店と料理に新しい息を吹き込む毛利さん。仕込んだハムのでき上がりも楽しみですね!
(2009年2月2日更新)
畑に見守られるようなロケーションのレストランLa毛利。
今の時期、瑞々しい白菜や
トロリと甘いねぎのおいしさが
楽しめますよ!
お店のエントランス。
床や看板のバックには、
外国から取り寄せた鉄道の枕木の
廃材を利用。古いものを新しい店に
生かすセンスはさすが。
静けさを取り戻した
ランチタイム後の店内。
いつもはここが満席に!
お料理のように、
素朴で温かな語り口の毛利さん。
ランチは前菜・パスタ・メインを
それぞれ3~5種類から選べます。
こちらは前菜・真鯛の燻製。
メインの豚肉のソテー。
しっかりジューシーなお肉と、トマトの
旨味ぎっしりのソースが合う!
秋田仕込みの自家製ハムは、
脂までおいしい。
プロフィール
毛利 彰伸さん
東京都中野区出身。都内最初の農園レストランのオーナーシェフとして、2000年5月保谷駅前に「La毛利」をオープン。2007年8月に白石農園のある大泉町へ移転。素材を活かした料理に定評があり、3月8日(日)に東京ガスキッチンランド光が丘主催「体がよろこぶ健康料理」教室の講師をつとめる予定。
[La毛利 ホームページ]