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ねりま人#136 イシグロキョウヘイさん(アニメーション監督)

公開:2026.03.10
著者:ライター:協同クリエイティブ

ねりま人#136 イシグロキョウヘイさん(アニメーション監督)

<プロフィール>
イシグロキョウヘイ
アニメーション監督・演出家。1980年生まれ。神奈川県出身。2005年にアニメ制作会社に入社してキャリアを積み、2009年に演出家に転身。2011年フリーになる。2014年テレビアニメ『四月は君の嘘』で監督デビュー。2021年に初のオリジナル作品となる劇場アニメ『サイダーのように言葉が湧き上がる』が全国公開された。練馬区在住。1児の父。

<『四月は君の嘘』作品紹介>
天才ピアニスト・有馬公生と、個性あふれるヴァイオリニスト・宮園かをりが、音楽に導かれ、互いの才能に共鳴し合いながら成長していく青春ストーリー。幼馴染の澤部椿と渡亮太と共に、友情、恋、進路など、中学生たちの生き生きとした日常を描いている。


2011年に「月刊少年マガジン」(講談社)で連載された新川直司氏の漫画『四月は君の嘘』のアニメ化に際し、監督を務めたイシグロキョウヘイさん。2014年10月〜2015年3月にテレビで放送され、今なお多くのファンに愛されている作品です。実は、ほとんどのシーンの舞台が練馬区なので、「あの場所はどこ?」「あのお店のモデルは?」など、ロケ地も気になるところ。『四月は君の嘘』の練馬区内ロケーションMAPを見ながら、イシグロ監督にロケ地の思い出や作品への想い、“練馬の四月”をリアルに楽しむおすすめコースなどをお聞きしました。

練馬区を舞台にした理由とは?

練馬区を舞台にした理由とは?
▲練馬区内ロケーションMAP。ねりま観光案内所、石神井観光案内所で入手できます。
本記事のアニメシーンには、MAP内のロケ地の番号を記載しています。

―なぜ練馬区を舞台にしようと思ったのですか?

イシグロ:原作を描かれた新川直司先生の仕事場が、当時は練馬にあり、作品に描かれている街が保谷と南大泉辺りだったんです。さらに、アニメ化のオファーをいただいたのが、ちょうど僕が練馬区に引っ越してきた頃で。エリアが近かったこともあり、原作を読んだ時に「あ、この場所わかるわかる!」みたいに親近感を覚え、原作の世界をそのまま再現できたらいいなと思ったのがきっかけです。

―偶然なのか、必然なのか、不思議な縁を感じますね。

イシグロ:新川先生にお聞きしたら、先生の仕事場と僕の家が本当に近所だったのでびっくりしました。 放送終了後にチームが解散する時、先生が声をかけてくださって、先生と僕と妻(『四月は君の嘘』のキャラクターデザインを担当した愛敬由紀子さん)の3人で、保谷の焼肉屋さんで打ち上げをしました。先生の仕事場は今はもう練馬区ではないので、懐かしい思い出ですね〜。

―ロケ地はどのように決めたのですか?

イシグロ:僕は自宅から仕事場まで自転車で通っていたので、「公生たちはこの辺に住んでいるだろう」と設定を考えながら、気になった場所を撮影したり、Googleマップのストリートビューで探して保存したりしていました。
制作協力をいただいた西武鉄道さんからは、おすすめのお店情報を教えてもらいました。例えば、6話で椿と斎藤先輩が行くハンバーガーショップは、大泉学園にある「ブッチャーズテーブル」がモデル。「デートスポットっぽいお店ですよ」とすすめてもらいました。また、1話でかをりが演奏するホールのモデルとなった練馬文化センターや、かをりが入院する病院のモデルとなった光が丘病院などの施設は、練馬区からご提案をいただきました。

最も思い出に残るロケ地は、小さな踏切

―監督にとって、特に思い出深いロケ地はありますか?

イシグロ:上石神井駅と武蔵関駅の間にある踏切です。最終話で、公生がかをりからの手紙を読むシーンで、かをりが「ありがとう」と去っていくところでもあり、椿が「ずっとそばにいる」と宣言する場所でもあります。

▲上石神井駅と武蔵関駅の間にある踏切(マップ⑭) 

―作品の中では重要なシーンですよね。
イシグロ:アニメ化の際に、最後のかをりの手紙のシーンをどう描くかは重要だと思っていたので、イメージをずっと考えていました。「踏切を使おう」というプランが決まってから、あちこち探して、ようやく見つけたのがこの踏切だったんです。人と自転車しか通れないような、狭くて何気ない踏切なんですけどね。

―どんなところに惹かれたのですか?
イシグロ:なんだろう…言葉でうまく説明できないんですが、ここは絵になるなっていう直感みたいなものでしょうか。奥の公園に本当は桜の木はないんですけど、原作の世界感を表現するため、ちょっとだけ嘘ついちゃってます(笑)。

▲上石神井駅近くの線路脇の道を歩く公正(マップ⑬) 
▲椿が公正に「ずっとそばにいる」と宣言するシーン(マップ⑬)

―放送終了後、この踏切に行かれたことはありますか?

イシグロ:今でもたまに行きますが、息子が1歳半くらいの時に電車にハマっていたので、よくこの踏切に行って、息子を抱いて電車を見ていました。ただ、上石神井駅周辺の再開発や高架化の予定に伴い、あと十数年でこの景色はなくなってしまうようです。

時を超えてつながる街の景色

―時代や街の変化に伴い、ロケ地の景色も変わっていくんですね…。

イシグロ:そうですね。光が丘病院も変わりましたからね。でも、息子もそうですが、その時代に生きる人の視点で考えれば、変化していった街の風景が日常になるわけで。そこからまた新たなドラマが生まれると思うんです。だから、もちろんさみしさはありますけど、街や景色が変わっていくことに対して、僕は肯定的にとらえています。

▲西大泉の鉄塔が見える風景(マップ⑳)

イシグロ:もう1つ、ちょっとマニアックなロケ地を紹介します。椿が斎藤先輩を振るシーンなんですが、鉄塔を避けるようにしてできた不思議な形の道路が西大泉にあり、おもしろいなと思って選びました。実は、原作の風景にも鉄塔が登場しているんです。西大泉から、新川先生の仕事場があった保谷、さらに石神井台のほうまでずっと鉄塔の景色が続いているんですよ。最近知ったんですが、50年くらい前に漫画家の萩尾望都先生と竹宮惠子先生が共同生活していた漫画家の聖地「大泉サロン」が、このロケ地の近くにあったようです。実は僕の家もその鉄塔ライン上にあるので、“鉄塔”というキーアイテムで漫画の文化がこの地でずっとつながっているような気がして、感慨深く思っています。

監督自らロケ地を巡って感傷に浸っていた!

―何気ない景色にもストーリーを感じますね。

イシグロ:練馬文化センターの前の平成つつじ公園に出てくる遊具のように書き加えたアイテムなどはありますが、作品の中で描かれている街の景色は、道1本に至るまでどれも実在する場所です。

▲公生がかをりと出会った場所は、平成つつじ公園がモデル(マップ⑧) 
 ※平成つつじ公園は2026年4月から改修工事が実施され、2027年にリニューアルオープン予定

―先ほどの上石神井の踏切のほかにも訪れたロケ地はありますか?

イシグロ:放送が終わったのが2015年の3月。ちょうど桜の時期ということもあり、「大変だったけど、終わったなぁ〜」という気持ちで、1人で自転車に乗ってロケ地を回って感傷に浸っていましたよ。

―監督自ら、聖地巡礼していたとは! ロケ地で監督に遭遇することがあるかも!?
イシグロ:あはは、その確率も高いですね。地元に住んでいますから(笑)。もし僕を見かけたら、ぜひ声をかけてください!

イシグロ流 〜春の練馬の楽しみ方〜

―この作品の季節である“春”を感じられる練馬のおすすめのスポットがあれば教えてください。

イシグロ:春といえば、やはり桜。石神井公園から、大泉学園通りの桜並木が黄金ルートですね。花見の思い出といえば、昨年の春、息子の幼稚園友達の5家族くらいと一緒に、石神井公園でお花見をしました。まさに1話で、かをりが猫を追いかけてたどり着いた広場の桜の木のあたりです。そうしたら、少し離れた場所で公生とかをりのコスプレをした人たちが写真を撮っている人がいたんです。その写真に写り込んでいたのが監督だってわかったら面白いかなと思って、「ここに監督いるよ~」みたいな感じで、目線を送ったりしちゃいました(笑)。

―けっこうおちゃめなんですね♪ 練馬区には桜のスポットがたくさんありますよね。

イシグロ:高野台から石神井公園に向かう石神井川沿いの遊歩道の桜もおすすめです。監督になる前ですが、このロケ地を使っている作品を見てすごくいいなぁと思っていたので、公生とかをりのシーンで使わせてもらいました。

▲石神井川沿いの遊歩道(マップ⑪)

―監督の練馬愛が伝わってきますね! ちなみに地元でお気に入りのお店はありますか?

イシグロ:いくつかありますが、上石神井駅近くの「カフェ コメコ」には時々夫婦でお昼を食べに行きます。関町北にある「KITA5CAFE(キタゴカフェ)」は、誕生日や記念日にケーキを買いに行きます。作品の中で出てくるカヌレは、保谷の「アルカション」のものなので、カヌレを買って、かをりたちが歩いた道をたどりながら黄金ルートの桜を楽しむのがおすすめです!

誰かの夢のきっかけになる作品に

―放送から11年が経ちますが、監督にとって『四月は君の嘘』はどんな作品ですか?

イシグロ:今振り返ると、当時の情熱がギュッと圧縮された、とても力のある作品だと思います。その頃は「10年残る作品にしたい」と思っていましたが、今でも「観ていました!」と言っていただき、とてもありがたいです。最近では、日本人や韓国から来た人で「この作品を観てアニメーターになりました」という人もいて…。誰かの人生に影響を与える作品になっているなんて思いもよらず、嬉しかったですね。願わくば、20年、30年先も、誰かの夢のきっかけになる力を持ち続けてほしいなと思います。

―最後にメッセージをお願いします!

イシグロ:この作品を長い間愛し続けてくれたファンの皆様には感謝しかないです。まさか10年後に、自分の作品の登場人物のコスプレをした人を地元で見かけるなんて想像もできませんでしたから(笑)。
そして、練馬区にお住まいの皆様、ほぼ練馬で完結している作品なので、ぜひご覧いただけたら嬉しいです。ねりま観光センターが発行するロケーションMAPを片手にロケ地に足を運んで、実際の景色と照らし合わせてみると、感動すると思います!

▲DVD BOXにサインをお願いしたら快く応じてくださいました!

作品の放送後、お子さんが生まれ、緑や畑が多く、子育てもしやすい練馬の魅力を改めて実感しているというイシグロ監督。「家も買ったので、一生練馬に住み続けます!」と、練馬愛もたっぷり♪ 原作へのリスペクトはもちろん、当時の美術監督やチームのスタッフへの感謝の気持ちを大切にしている姿が印象的でした。今後の作品も楽しみです!

©新川直司・講談社/「四月は君の嘘」製作委員会

情報まとめ

●イシグロキョウヘイ監督
 アニメ演出/監督イシグロキョウヘイと、アニメーター愛敬由紀子の仕事情報を発信するウェブサイト
 Studio IK:https://www.studio-ik.com/

●店舗
 ブッチャーズテーブル大泉学園店(練馬区東大泉2-9-18)
 https://www.instagram.com/butchers_table/

 カフェ コメコ(練馬区上石神井4-1-13)
 https://www.instagram.com/kcomeco/

 KITA5CAFE(練馬区関町北5-19-14)
 https://www.instagram.com/kita5cafe/

 アルカション(練馬区南大泉5-34-4)
 https://arcachon.co.jp/

●練馬のおすすめスポット
 「とっておきの練馬」のおすすめスポット
 https://www.nerimakanko.jp/spot/

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