西武鉄道池袋駅まで急行に乗れば約10分。駅周辺には大手スーパーや有名コーヒーチェーン店がありながらも、公園が多く自然との距離も近い。もちろんこれらは石神井公園エリアの魅力なのですが、実は個性的な個人店が多いエリアでもあるんです。
毎日食べたくなるお惣菜から、環境に配慮した量り売りのカフェ、一点ものの作品と出会えるギャラリーまで。想いとこだわりがギュッと詰まった珠玉のお店を紹介したいと思います。
①PUENTE zerowaste shop & cafe(プエンテ ゼロウェイストショップアンドカフェ)
スパイスやドライフルーツ、ナッツなど様々な食材が入ったビンが壁一面に並んでいます。もちろんどれも売り物。店名にある「ゼロウェイスト」とはごみを無くすという意味で、ハーブが入っているビンに「ローズマリー 420円/20g」と書いてあるように食材を量り売りしているのです。お客さんはお家からビンや袋を持参して、欲しいものを使う分だけ購入していただくことで包装紙をなくすスタイルをとっています。もし入れ物を持ってきていなくてもご安心ください。ビンや繰り返し使えるペーパーバッグなどを購入することもできます。
取り扱っている商品はオーガニックやフェアトレードのものが中心。驚いたのは干し椎茸や昆布、みりん、料理酒まで揃っていること。和の調味料があるだけで一気に親しみを感じさせてくれますね。もちろん、これらも全て量り売りです。
店内はカウンター席とソファ席もあり、ゆっくりコーヒーやハーブティーを楽しむこともできます。おすすめは生豆を一度洗ってから焙煎しているアームズコーヒー。余分なものを取り除くことで雑味をなくしたこだわりの一杯はすっきりとした味わい。テイクアウトも可能なので公園をお散歩する前に立ち寄ってみるのもおすすめです。その際はぜひマイボトルやタンブラーをお持ちください!(店内利用550円、テイクアウト500円、マイカップ利用で100円引き)
「カフェで利用している方がお買い物に来た方に商品をおすすめしてくれたり、なんだかお客さん同士が仲良くなるんです」
と話してくれたのはオーナーの苅部さん。お客さま同士でも日常的に生活の知恵がやりとりされているのだそう。環境に良いものがある場所だからこそ、「生活」に興味のある人が集まる拠点になっているのです。
ちなみに、店名の「PUENTE」とはスペイン語で「橋」という意味で、誰かと誰かの架け橋になってほしい、という想いが込められています。もしかしたら、環境を守ることで次の世代へ世界を渡す架け橋にもなるお店かもしれませんね。
住所:東京都練馬区石神井町3-18-8
Instagram:https://www.instagram.com/puente_zerowaste.cafe/
営業時間: 9:30 - 16:30
定休日:日曜、月曜
②たべものや ITOHEN
個性的なお店が並ぶ商店街の一角にある「たべものや ITOHEN」は、11時のオープンからお客さんが引きも切らない人気店です。みなさんのお目当てはショーケースに並ぶ10種類以上のお惣菜。旬の食材を活かすためメニューは週替わり。この日は「おろし照り焼きバーグ」「スイートチリ唐揚げ」などの主菜と、「彩り野菜の揚げびたし」「ほうれん草とハムのグラチネ」などの副菜が並んでいました。見ているだけで楽しくなるちょっと手の込んだ家庭料理は、もちろん全部手づくりです。
4種類のお惣菜を組合せて作る自分好みの定食(1,780円)もおすすめです。イートインなら選んだお惣菜にご飯・汁物・ドリンクをつけてもらって完成。好きなものを選べるといわれるとついつい主菜に偏りがちですが、お店の方がさりげなく「今日はこちらのサラダもおすすめですよ」と、一緒にバランスを考えてくれるのも嬉しいポイント。ちなみに、スタッフ皆さん「推しメニュー」を持っているそうなので、お店に行って聞いてみるのもおもしろそうです。
店内が混んでいたらお弁当にしてテイクアウトしましょう。天気の良い日には公園までお散歩してランチができるのも石神井のいいところですね。
「家庭料理を通していろいろな世代の方の助けになればと思って、2013年に夫婦二人で始めたんです」というオーナー髙橋さんの言葉通り、取材中も近くで働いている方、子連れの方、年配の方と様々な人たちがお店の扉を開けています。そんな忙しい中でも髙橋さんは「あ、〇〇さんいらっしゃい!」と、常連さんへの声掛けも忘れません。扉を開ければ美味しい料理と笑顔で迎えてくれる。ここは、まるで実家に帰ってきたかのような安心感にあふれる地域のキッチンです。
住所:東京都練馬区石神井町2-13-5
HP:http://itohen.sub.jp/index.html
Instagram:https://www.instagram.com/itohensarasa/
営業時間:11:00〜18:30(日・月・祝日 休み)
③knulpAA(クヌルプエーエー)
石神井公園駅から歩くこと3分。住宅が建ち並ぶ一角にひっそりと佇んでいる小さなお店があります。ここは、陶器、木工、ガラス、テキスタイル(布)などの工芸作家の作品を販売しているギャラリー「knulpAA」。生活に奥行きを持たせてくれる一点もののアイテムと出会うことができるお店です。
陶芸家・林健二さんの作品
オープンは不定期で個展・企画展という形で開催。お付き合いのある作家さんは30名ほど。その中には地元・石神井公園周辺の作家さんもいらっしゃいます。取材に訪れた時も地元の陶芸家・林健二さんの個展が行われていました。動植物をモチーフにした小さなお皿は現代の食卓にもマッチしそう。他にも、有機的な表情見せてくれるガラスを製作する貴島雄太朗さんも人気作家の一人なのだそうです。気に入ったお皿や器が一つあるだけでテーブルが華やぎ、ちょっと特別なおうち時間を過ごせそうですね。
ガラス作家・貴島雄太朗さんの作品
knulpAAでは年間20ほどの企画展を開催しています。ギャラリーを運営している町田さんは実際に作家さんのもとを訪れ、作品はもちろん、作家さんのことやその想いもしっかりと感じ、企画展という形でお客さまとつなぐ。そういった関係性があるからこそ同じ作家さんが繰り返し個展を開催してくれるのでしょう。
「一年に一回とか、定期的に個展をやっていただくと作家さんの変化を感じることができるんです。それに、作家さんのファンになるお客さんも出てきて『次はいつやるんですか?』と聞かれることもあります」
ギャラリーというと敷居が高く感じてしまいますが、最近は女性の方やお子さまを連れて来られる方も多くなってきたのだそう。知らなかった街の魅力に気づき、住んでいる街が面白くなるように。そんな想いで始めたknulpAAは、20年の時を経て、幅広い層の人たちが集まるようになり、作品との出会いはもちろん、人と人をつなげる場にもなっているのです。
住所:東京都練馬区石神井町1-21-16
HP:https://knulpaa.com/
Instagram:https://www.instagram.com/machida_knulpaa/
モノと出会い、ヒトともつながれる個人店の魅力、感じていただけましたでしょうか?駅周辺の大型店が目立つ石神井公園エリアですが、少し歩くと個性的なお店がたくさん点在していることに気づけます。
いつもとちょっと違う道を歩いてみたり、行ったことのないエリアに足を向けてみたり。時にはゆっくりと街を散策して、自分のお気に入りのお店を見つけてみるのも楽しいかもしれませんね。
気になるお店が見つかったら、ほんの少し勇気を出して扉を開けてみましょう。きっと住んでいる街がもっと楽しくなるはずです。