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<プロフィール>
永野 雄大(ながの ゆうだい)
1998年10月15日生まれ。茨城県水戸市出身。NEXUS FENCING CLUB所属。父は元フェンシング選手の永野義秀氏。中央大学3年在学時に、第72回全日本フェンシング選手権大会男子フルーレ個人戦で初優勝。2021年の東京大会では男子フルーレ団体でアメリカに敗れ惜しくも4位入賞となったが、先日のパリ大会では日本チーム(松山恭助、飯村一輝、敷根崇裕、永野雄大)で活躍。イタリアを45 - 36で制し見事金メダルを獲得した。趣味はゲーム、好きな食べ物はラーメンだそう。
今回は、いつもにもましてスペシャルな企画です!先日のパリ大会で、日本チームとして感動の熱戦を繰り広げ、見事金メダルを獲得したフェンシング男子フルーレ団体の永野雄大選手にインタビューの機会をいただきました。選手としてのご活躍は皆さんご存知の通りですが、練馬区にお住まいの永野選手、練馬区についてもお話しいただきましたよ!
練馬区と地元茨城の意外な共通点!
▲パリ大会のジャージが目に鮮やかですね! わざわざ着用いただき、ありがとうございます。
――まずは改めまして、パリ大会でのご活躍、おめでとうございます!永野選手がフェンシングを始めたきっかけと、競技の魅力を教えてください。
永野選手 「小学1年生の時から始めました。父が選手でしたので、その影響ですね。
なかなか馴染みのない競技ですから見ていると難しそうに感じるかもしれませんが、実はめちゃくちゃ単純で、簡単に言えば、剣で相手を突きにいくという競技なんです。
相手からポイントを取れるととても面白いので、ぜひ一度体験してほしいと思います」
▲小学生の頃の永野選手。背筋がピンと伸び 早くも才能の片鱗が滲み出ている?!
――小学1年ですと、道具とか重たそうなんですけど、大変なこととかはなかったですか?
永野選手 「そうですね。剣は大人用と子ども用とあって、サイズが違うのですが、基本的に素材から何から一緒です。慣れないとまあまあ重いので、うまく動かせないですね。始めた頃は、先に競技をやっている女の子とかに全然勝てなくて、めちゃくちゃ悔しい思いをしました(笑)。負けたくない一心で、がむしゃらに練習をしていましたね」
▲フルーレは規定で剣の長さは110cm以下と 決まっていますが、それでもずっしり。
▲見てください!これがメダリストのフォーム です。さすがに美しいですね。
――練馬区にはいつ頃からお住まいなのですか?
永野選手 「2年前ですね。前は八王子の方に住んでいたのですが、ここ(NEXUS FENCING CLUB)に通いやすいという点で引っ越しました。都心部でありながら、どこかほっこりと感じるところが地元茨城にも通じるようで気に入っています。もちろん生活に不便なことは一切ありません。都心への移動も便利ですし。パリ大会の後は、テレビ観てたわよ!とか、連続ポイントすごかったね!ですとか、どこでも気軽に声をかけていただいて、気さくな人が多い印象ですね」
▲長さ14m、幅1.5mの細長い舞台が「ピスト」。中央に4mの距離を開け、向き合って対戦!
観光の観点でもお尋ね!ごはんやオフの過ごし方
――観光センターとしてはぜひお聞きしたいのですが、『パワー飯』みたいなものってありますか?よくアスリートの皆さんはゲン担ぎで食べたりしますが。
永野選手 「これ!というのはないですが、よく食べるのはラーメンですね。練馬駅近くの千川通り沿いに家系のラーメン屋さんがあるじゃないですか。立って食べるスタイルの。あそこには結構行きますね。それから駅から少し離れますけど、濃厚辛口つけ麺の専門店にもハマっていて出向きます」
※・・・多分見田家さんと、つけめんラスト・ボスさんですね。メダリストが普通に食べているとは!観光センターメンバーもラーメンが好きで出かけるのでお店が特定できます。
――素人質問で申し訳ありません。我々が思う以上にアスリートの皆さんは体重管理とかシビアだと思うのですが、ラーメン、大丈夫なのでしょうか?
永野選手 「いやぁ、確かに僕は太りやすい体質なので、気をつけていますね。その点は、栄養指導のスタッフがサポートしてくださっています。競技に体重制限はありませんが、パフォーマンスが低下しないようにベストな体重をキープするようにしています。どんな時でも腹八分目が一番、とスタッフには言われていますので、食べ過ぎないこと、それから野菜や魚もバランス良く摂るようにしています。・・・それでも我慢できない時は食べちゃいますけど(笑)」
▲眩しく輝く金メダル!!こんなに間近で みられるとは。。。ありがたいですね。
▲ねりこの首にもかけてもらいました。 「お、重いのにゃ・・・」
――フェンシングをされていない、オフの時間は何をされているのでしょうか?
永野選手 「ゲームが好きなので、よくプレイしています。賞金をいただいてからゲームの購入に抵抗がなくなりました(笑)。最近も、有名なオープンワールドタイプのアクションRPGを購入したのでせっせと遊んでいます。正直、あの大会で勝つということを、こういう面からも改めて実感しています。おそらくこれからもスポンサードでしたり、こういったメディア露出も機会がどんどん増えていくと思います。結果が出る前と後では、全く世界が変わっていますね」
▲永野選手も例のプラモデルが大好きだそう。 こう見るとオフは普通の青年ですね。
フェンシングは人生設計においてもおすすめ?!
▲センターメンバーも、ママ目線で子どもたち にとっての競技の魅力をヒアリング。
――夢がありますね!練馬区は小さなお子さんも多い地域です。これからフェンシングを始める皆さんに何かアドバイスなどはありますか?
永野選手 「競技人口の少なさは大きなポイントだと思います。例えば僕も中学の時は卓球部に所属した時期もあるのですが、それだと市内大会→地区大会→県大会と、勝ち上がるのがすごい大変ですよね?フェンシングはそこまで裾野が広くないですから、県内で勝てるレベルになっておけば、インターハイにも出場できますし、そこで結果を残せばいわゆるマーチクラスの大学推薦も夢ではないです。先ほども話したとおり、競技自体もそこまで難しいものではないので、進路の面でも正直、おすすめですね」
――とはいえそんなに簡単に勝てるものではないと思います。永野選手がフェンシング競技において重要と思う要素はなんでしょうか?
永野選手 「うーん。。。。そうですね。僕の考えですが、“どれ”と言い切るのは難しいですね。例えば体がめちゃくちゃ俊敏に動くとしても、結局剣で相手を突かないと勝負にならないわけです。剣の技術も必要ですし、勘も大事ですし。そうなると漠然としちゃいますが“全体的なセンス”としか言いようがないですね。体の動かし方、剣の扱い、そういうのも含めてです。ただ、ここに天性のものはあまり関係ないと思っていて、誰でも練習すればできると思います。僕もどちらかと言えば不器用な方ですが、それでもここまで来れるわけですから」
▲会話をしていても終始穏やかな永野選手。競技の 話を一つひとつ丁寧に説明してくれます。
――パリ大会での日本のメダル獲得数は合計45個。うち金メダルは20個です。単純に日本の人口で割り返すと、0.00003%ですから、300万人に1人という比率です。永野選手と話していると錯覚してしまいますが、改めて言うほど簡単なことではありませんね!!
※メダル獲得数:https://olympics.com/ja/paris-2024/medals より。日本人口は2023年10月現在。
(金メダル獲得数は20個ですが、競技により複数人に授与され、金メダリストは25名となります)
結果は捉え方次第!皆さんへのメッセージ
――では最後に、この記事を見ているお子さんたちや親御さんにメッセージをお願いいたします!
永野選手 「20歳の頃の僕は、なかなか海外で結果を出せずに悩んでいました。このまま競技を続けていて、本当に勝つことができるのだろうか?と不安にもなりました。皆さんもこれから先、楽しいことはもちろん、辛いことも出てくると思いますが、結局は捉え方だと思います。それらが自分にとって“いい経験になるんだ“と思えば、乗り越えていけると思います。そんな考え方で、人生を自分で豊かにできるように、何事にも頑張ってほしいと思います。応援しています!」
▲パリ大会も永野選手の「いい経験」の一つ。 これからもきっと大活躍してくれますね!
▲フェンシングと真摯に向き合い努力してきた 自信が、その堂々たる佇まいから伝わります。
<編集後記>
――永野選手は「たったの一試合で全然変わった」と、冗談混じりでおっしゃっていましたが、その一試合のために費やした時間や努力は、並大抵なものではないと容易に想像ができます。厳しい世界で戦い続ける永野選手の今後のご活躍を、観光センターは区民の皆さんと一緒に応援したいと思います!
サイトもチェックしてくれるとのことですから、私たちも頑張らないと!!