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居酒屋好き、大衆酒場好きのさかばクン。
家でも外でも、ビール、日本酒、焼酎がメインです。
なので、ふだんワインはあまり嗜みません。
そんな《ワイン素人》のさかばクンですが……
ワインのことをもっと知りたい!
勉強してみたい!
そう思わせてくれるお店が石神井公園にはいくつもあります。
その中から、コロナ禍に見舞われた2020年以降、石神井公園にオープンした気鋭の3店を妻と訪れました。
美味しいお料理とピッタリなワインを前編・後編に分けてご紹介します。
bistro l'agri[ビストロ ラグリ]〜肩肘張らず気軽に本格フレンチとワインが楽しめる
1店舗目は【bistro l'agri】
石神井公園駅中央口を出て、かつてはバス通りだった商店街「パークロード石神井」を抜けていきます。
今は再開発工事の影響で商店街の片側には高いフェンスが建てられています。
最初に出てくる大きな交差点を左折し、石神井池(ボート池)の方に下りていき、通右手に出てくる一方通行の道に入ると住宅街のなかに『bistro l'agri[ビストロ ラグリ]』(以下、『ラグリ』)の灯りが現れます。
このあたりは飲食店がまったくないので、まさに「ポツンと」という言葉がふさわしいロケーションで閑静な場所にあります。
店主の森田さんは、青山、パリのレストランで修業したのち、2011年より青山、恵比寿、赤坂のフレンチレストラン、ベルギービールレストランで料理長を務められます。
そして、光が丘のご出身ということもあり、独立の地に石神井公園を選びました。
地元凱旋となったオープン日は、2020年6月16日。
そう、この頃の東京は、まさにコロナ禍がはじまり、「三密」「ソーシャルディスタンス」などという言葉が広がっていた頃でしたので、大変な時期の開業だったと思います。
さて、『ラグリ』のセラーには、ワインだけでなく、ベルギービールが常時20種類ほどずらっと並んでいます。
私たちもまずはベルギービールをいただきます。
妻の好みを伝えたところ、森田さんが妻に選んでくれたのは「Saison Dupont(セゾンデュポン)」。
私は、ピンクの象のラベルがかわいい「Delirium Tremens(デリリュウム・トレメンス)」にしました。
「デリリュウム・トレメンス」とはラテン語で「アルコール中毒の幻覚症状」という意味です。
ラベルには、幸せのシンボルとされているピンクの象が描かれていますが、酔って幻覚症状が出ると、このピンクの象が現れるそうですよ。
見てみたいような……
見てはいけないような……ですね(笑)
本日のお魚前菜
富山県の氷見漁港で揚がったサゴシ(サワラの幼魚)をマリネし炙っています。
これをクスクスと合わせてサラダ仕立てになっています。
クスクスって粟や稗(ヒエ)のような穀物に見えますが、デュラム小麦粉*を使った粒状のパスタなんですよね。
*デュラム小麦粉
良質なタンパク質を多く含み、弾力性があるグルテンを形成します
ここに赤紫蘇のジュレが添えられ、甘酸っぱい香りと甘味がサラダを一層引き立てます。
『ラグリ』という店名は「agriculture(アグリカルチャー)=農業・農学」に由来します。
地場の練馬野菜はもちろんですが、三浦半島の三浦野菜も積極的に料理に取り入れています。
まずは、グラスワインをいただきましょう。
『ラグリ』のセラー室では、フランスを中心に100種以上400本ほどのワインを寝かせています。
なので、グラスワインのラインナップも充実。
この日も、スパークリングワイン1種に白ワインと赤ワインが3種ずつ黒板メニューに並んでいました。
少人数やお一人様でも気軽にワインを楽しめますね。
その中から、私が選んだのは白ワインの「SUBMISSION」。
シャルドネを用いたカリフォルニアワインです。
ワインに明るくないので、まずはブドウの品種から勉強中です。
柑橘系の爽やかな味。
魚介の前菜とよく合います。
シャルキュトリー盛り合わせ
シャルキュトリーとは、食肉加工品全般の総称で、フランス語のchair(肉)とcuite(火を入れる)が語源です。
私はハムやソーセージ、パテといった加工肉がとにかく大好き。
生ハム、ボイルハム、サラミ、パテ・ド・カンパーニュが一つのお皿に盛られ、色々といただけるのは本当に嬉しい!
ワインリストを見ても、私はちんぷんかんぷん。
なので、いつも、ワインのセレクトは、ソムリエの資格も持つ森田さんにお任せしちゃいます。
すると毎回、セラー室から3本のボトルをテーブルに持ってきてくれて、味の特徴や産地の違いなどをわかりやすく解説してくれます。
ボトルにはお値段が貼られているので、予算とも相談できるので安心ですよ。
今回選んだのは「Le Bourgeon Bourgogne Pinot Noir」。
ピノ・ノワールは先ほどのシャルドネと並んで私でも知ってるブドウの品種です。
果実感があり、重たすぎず軽すぎないバランスの良い赤ワインですね。
鮎のコンフィ
和歌山県産の鮎です。
鮎はもっぱら塩焼きで頂くことが多いのですが、コンフィになるとまた違った味わいになりますね。
鴨のロースト
この鴨は青森県産の津軽鴨。
フランス原産のバルバリー種のひな鴨を輸入し、津軽で育て、産んだ卵を孵化した鴨だそうです。
皮はパリッと焼かれ、肉を噛むとその弾力がものすごい!
『ラグリ』では鴨だけでなく、鹿、猪、山ウズラ、山バト、雷鳥、キジなど、入荷のタイミングと合えば、ジビエの世界を堪能することができます。
ん?
雷鳥!?
ちょっとビックリしちゃいますが、スコットランド産なんだとか。
ぜひ今度食べてみたいですね。
最後はラザニア
前にお邪魔したときは豚のラグーソースのラザニアでしたが、今日は氷見漁港のイカ・タコ・サザエをふんだんに使った魚介のラグーソースです。
いやぁ~ワインが進む進む。
ボトルが空になったところで、ちょうどお腹がいっぱいになりました。
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『ラグリ』の魅力は、アラカルトでリーズナブルに、コンフィや赤ワイン煮込みなどの伝統的なフランス料理をいただけること。
店内はゆったりと広く、カウンター席とテーブル席がありますので、ひとりでふらっと立ち寄るお客さんも多いですし、大切な日にご夫婦やファミリーがテーブルを囲んでいるシーンもよく見られます。
開店から4年が経ち、すっかり石神井公園の人気店になりました。
「もっと気軽にワインとフランス料理を楽しんで頂きたいです」
気になるメニューをオーダーして森田さんセレクトのワインをじっくり楽しんではいかがでしょうか。
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bistro l’agri[ビストロ・ラグリ]
練馬区石神井町3丁目16−20
03-6913-2991
営業時間:17時~22時
定休日 :月曜日・木曜日
https://www.facebook.com/bistrolagri/
後編もお楽しみに!