特集記事 Reviews
ニンジン、ダイコン、ネギ、ハクサイ、初冬の11月頃から根菜類をはじめ、さまざまな冬野菜が美味しくなる季節です。東京23区でありながら、農地面積が最も大きい練馬区は、農家の直売所も多く、新鮮な農産物が手軽に買うことができます。南大泉の農園の加藤義松さんや高橋農園のご家族にお話を伺い、直売所での買い方やコツ、巡り方、楽しみ方などを伝授する特集です!
無人直売所には、どうやって行くの?
〈写真〉練馬区発行「農産物ふれあいガイド 」
どこに無人直売所があるのかわからないという方は、まず練馬区で発行している「農産物ふれあいガイド 」を手に入れましょう!
ダウンロードはこちら(https://www.city.nerima.tokyo.jp/kankomoyoshi/nogyo/tokei/sasshi/hureai-guide.html)
区内にある直売所260か所以上のうち、掲載申請のあった108か所がこのガイドに掲載されているんですよ! 住所やマップ、販売している主な農産物、生産者からのメッセージなどが、ぎっしり詰まった内容です。
南大泉の直売所に行って、買ってみた!
〈写真〉住宅街に点在している農地「都市農業」の風景
ガイドを手に入れたら、早速出かけてみましょう。向かった先は南大泉エリア。保谷駅南口から徒歩で、いくつかの直売所を回ることができます。
無人直売所は、農産物が「台置きタイプ」と、「コインロッカータイプ」の2種類があります。
買い方はいたって簡単!
台置きタイプは、農産物を選んで値札の代金を、そばにある缶に入れるだけ。
コインロッカータイプは、扉は透明なので中が見えます。農産物を選んで値札の代金を入れると、扉が開いて取り出せるという仕組み。
コインロッカータイプが増えている理由
〈写真〉コインロッカーの中に、野菜とおつりが入っている
代金のほとんどが100円ですが、200円や300円の場合も。種類によっては150円、170円などもあり。従来のコインロッカーは100円玉しか利用できないので、170円の物なら200円を投入。ロッカーの中にはおつりの30円が用意されているのが見えるので、農産物と一緒に取り出せばOKです。
(おつりがビニール袋に貼り付けてあるなど、生産者によって対応は異なります)
最近では、おつりの出る新型コインロッカーも出てきたそう。進化していますね。
直場所巡りをするなら、100円玉を多めに、そしてエコバックを持っていくことをおすすめします!
何軒も回りましたが、ほとんどがコインロッカーでした。理由は、生産者にとって、「商品や代金の管理がしやすい」から。お客さんにとっては、「多くの人の手が商品に触れないので衛生面で安心」だからです。
東京近郊では特にコインロッカーが多く、都市農業ならではの特長なんですね。海外の方もここに視察に来て、コインロッカーで野菜を売っていることに驚き、「自国でも広めたい」と言ったそうです。
ねらい目の時間帯は?
〈写真〉直売所の前を通ったら、「何があるかな?」と確認する人多し!
直売所の品出しは、たいてい午前中です。生産者によって時間はまちまちで、8時や9時、10時のところも…。
人気のある農産物は、直売所の前に朝からお客さんが並ぶ、なんて光景も見られます。また、わざわざ遠方から車で買いに来る方もいるのだとか。
農産物がある限り2回、3回と補充されることが多いそう。それでもやっぱり、種類が揃っている午前中から昼ごろまでがねらい目です。
直売所の前で様子を見ていると、近所の人たちは、自転車や徒歩で直売所の方をチラッと見ていきます。「あったらラッキー♪」くらいの気持ちで、マメなチェックが買い方のコツかもしれませんね。
野菜は寒くなると甘さが増す!
〈写真〉鮮度バツグン! 野菜はビニール袋に入っていた
11月から1月は、野菜が一番おいしい時期。寒くなると味がどんどん濃くなるので、鍋にすると野菜の出汁がよく出て、味の違いがよくわかるそうですよ。
この時期に旬を迎えるのは、ネギ、ハクサイ、ダイコンなど。霜が下りる頃には、コマツナ、ホウレンソウの甘さがぐんと増します。
だいたい2月から3月は端境期(野菜が少ない時期)ですが、ハウス栽培のトマトに限っては、一番おいしくなる時期だってご存知でしたか? 原産地の南米ペルーの気候と近い環境を、冬のハウス栽培で再現できることが、おいしい理由だとか。
さらに野菜だけでなく、ブドウ、カキ、キウイフルーツ、ユズ、ミカン、ブルーベリーなどのフルーツや花苗などの植物まで、年間を通していろいろな種類が生産されています。農家によってそれぞれ特長があるので、ぜひ「農産物ふれあいガイド」をチェックしてみてください。
生産者を見かけたら、話かけてみよう!
〈写真〉野菜を補充している生産者に、話しかけるお客さん
直売所などで生産者を見かけたら、「ここのおすすめは何ですか?」とか「この野菜の品種は何ですか?」なんて声をかけて、情報を仕入れてみましょう!
こだわりをもって作っている農産物ですから、きっと喜んで教えてくれると思います! そうしたら、地元の農産物をより身近に感じることができますね。
「お客さんの『おいしかったよ!』の言葉が何よりうれしい」とは、品出し中にお会いした生産者の言葉です。
「南大泉の謎スタンプラリー」でスタンプをゲットして収穫体験!
〈写真〉南大泉で農家を営む12代目の加藤義松さん。「緑と農の体験塾」という体験農園を全国に先駆けて1996年に開園。「南大泉農の風景育成地区実行委員会」の実行委員会代表
南大泉の3丁目、4丁目は、東京都の「農の風景育成地区」に昨年指定されました。都市部にある農の風景を将来に引き継ぐため農地の保全・育成を行うもので、これまでに5つの地区が認定され、練馬区では高松に続く2例目となります。
この活動の一環として、「南大泉の謎スタンプラリー」を11月1日から15日まで開催。サトイモの謎、ブルーベリーの謎、石垣の謎…など9つの謎スポットを探すことで、南大泉の農に関わる歴史を知ってもらうのが狙い。
スマートフォンのアプリ(https://www.minamioizumi.jp/mystery/)にスタンプを集めると、先着1,500名に収穫体験チケットと交換できる楽しいイベントになっています。このイベントを企画した加藤さんにお話を聞きました。
「農地は一度失われたら回復は難しい。残された農地は少ないので、農家も地域の人たちも協力して、楽しみながら維持していくことが大事。都市農業のひとつの使命だと思っています。スタンプラリーはその第1弾。来年は20くらいの謎にして規模を大きくしたい」と、アイデアを膨らませています。
南大泉農の風景育成地区実行委員会のホームページ(https://www.minamioizumi.jp/)
*『農産物ふれあいガイド』の配布場所
・都市農業課(練馬区役所本庁舎9階)
・区民情報ひろば(練馬区役所西庁舎1階)
・ココネリ3階(練馬1-17-1)
・石神井観光案内所(石神井町3-23-8)
・石神井ふるさと文化館(石神井町5-12-16)
・区民事務所(練馬除く)
・図書館
取材日:2020年10月1日